名古屋懇談会6月例会報告
6月例会は「名工大考える会」との共催で6月21日名工大で開催
テーマ:エネルギー自給空間 ?岩手県葛巻町?
講師(映像制作):江藤孝治さん(武蔵野美術大学大学院生)
参加人員:30名くらい
梅雨の晴れ間のなか工大祭でキャンパスは若い女子学生や大学説明会に参加の高校生などでにぎわっていたが、エネルギー問題というタイムリーな企画だったにもかかわらず広い教室を埋めたのは30名くらいで学生の参加は数名であり主催者としては残念!ちょっとしたトラブルで肝心の映像が上映できず、スライドによる説明と朝日テレビの「森と風のがっこう」の上映がメインとなった。
以下、江藤さんの説明、市村さん(名工大)、青木、安藤のコメント、
会場からの質疑応答など交えて順不同でしるす。
1)葛巻町はNEDOなどの助成金を主に風力、木質バイオマス発電
http://www.tsk-g.co.jp/tech/industry/bio04.html、
畜糞バイオガス、太陽光発電などでカロリー換算で町の消費エネルギーの80%、電力消費量だけでいえば180%のエネルギーを自給するとされる。
2)ただその内訳は風力が5000万Kwhでほとんど99%、バイオマスがその1%50万Kwh畜糞バイオガス、太陽光は0.1%の5万Kwhである。この数字からわかるように風力に偏っていることは普遍化の点で疑問がのこる。
3)風力は50億円の設備投資で毎年5億円程度電力会社に売電しており、個々の家庭は電力会社から買っている。直接配電することは配線コスト(1億円/km)の問題、需要供給のアンバランス(時間変動、電圧)の問題がある。
風力については日本では特に電力会社が発電の不安定性を理由に新規買電を敬遠しており、バードストライク、耐震性能への要求などとともに問題がのこる。コストの回収、エネルギー効率の問題とともに長期にわたる検証が必要である。
風力が不安定でも電力会社の膨大な需給量からみればごくわずかであり、現在の程度の発電量は問題でないと思う、電力会社の口実ではないのか(市村)電力会社で問題なのは作りすぎ、5月の連休明けなどは需要がない時期であり、連休時の
惰性で発電されるとどこも需要がすくなくて困るなど(青木)
4)バイオマスは木質バイオマスガス化発電(エネルギー総合効率75%、ほかに施設用、家庭用などのペレットストーブ、薪ストーブなど目玉はガス化発電だが、木質バイオマスのもっとも効率的な使用法はガス化発電といわれその点で的をいている。ただ、カラマツ集成材工場のチップ(日量3トン)が主体とされ、これ以上の増産の可能性、他の場所での利用可能性には疑問)製材所廃材のバイオマス量は全国で500万トン?1000万トン(推定)とされるが、乾燥品でないとエネルギー効率がわるい。大量に集荷すると輸送エネルギーが必要家庭用のペレットストーブも地域内での使用なら有効
5)バイオガスエネルギーは産業廃棄物のなかでも人口よりも牛口?が多いとされる同町ならではの事情が背景にあるが(実際は乳牛200頭分)余剰バイオマスのなかでは最大の畜産廃棄物(7400万トン?8900万トン)の有効利用だけに今後の普及に期待がかかる。
6)太陽光発電は中学校、老人保健施設など公共施設にとどまっており、エネルギー的には割合はすくない。
7)観光客が年間50万人も訪れることで、産業としての観光にも一役買っているが、その主なものは(公費?で訪れる)地方公共団体の視察旅行のようであり、あとを追う自治体があまり多くなさそうなのは疑問がのこる。やはり50億円という助成金は二番手には簡単にはおりないのか あるいは、返済が大変な為だろうか・
8)ビデオ「森と風のがっこう」(朝日テレビ制作)が、Iターンの先生を中心の子供たちの生き生きとした目が印象的であり、注目すべき別の側面(環境教育など)である。
9)その他質疑応答から
?NEDOの50億円の助成金は返さなくてもいいのか、電力の売上金はどこへいくのか、
?風力発電などは今後他の自治体がやろうとしたときNEDOの助成がえられるのか
?80%(エネルギー全体)とされる葛巻町の自給率はカロリー換算だが、実際の自給率ははどのくらいになっているのか。家庭の暖房や炊事用の燃料は?(家庭用にはペレットストーブなどが普及している。実際の自給率は50%程度(売電をのぞくと)
?今後の問題
従来は助成金は単年度またはせいぜい2,3年の実績の報告書の作成で終わりとされているが、葛巻の場合せっかくの壮大な実験なので長期の金銭収支、エネルギー収支などきちんと報告して他の自治体にも参考になるデータを残すべきであり、それを希望する
(青木)