名古屋懇談会4月例会報告

テーマ:生物多様性条約締約国会議COP10をめぐって
日時および場所:2008.4.19
講師:大沼淳一さん
参加者:約20名; ネットでCOP10を検索して学会のサイトにあたり来場した人もあった
報告要旨:
2010年10月に名古屋でCOP10の開催がほぼ確実視される状況を踏まえて以下の解説、および問題点の指摘があった
1.生物多様性条約成立の前史、
2.生物多様性条約とは何か、
?生物多様性の定義(種内の(DNAレベルの)多様性;種の多様性;種間の多様性(環境が多様で関係性も多様)を含む
?持続可能な利用:生物多様性を有する生態系サービスを賢く利用するなど、あくまで人類の存続のために生物多様性を健全に保持するスタンス
?遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ公平な配分(2010年の会議の争点となると思われる;遺伝子特許や育種者の権利と途上国ののせめぎあい
?カルタヘナ議定書:遺伝子組み換え生物の国境を越える移動の規制(2004年発効、日本は2003年に法制化)
?2010年の目標を「2010までに多様性の損失速度を顕著に減少させる」としていたが15指標のうち、12で悪化傾向2010年には次期目標設定
?農業、乾燥帯、森林など7つのテーマと遺伝子資源アクセスと利益配分、外来生物など18の横断プログラム
3.日本はこれに対応して1995年に国家戦略、2002年に新国家戦略、2007年に第3次国家戦略を策定
4.COP10を誘致している名古屋市、愛知県のねらいと実情
●市民団体のご意見を伺う会が開催されたが「電通」主導?の会議で市も県も生物多様性関連施策の準備は皆無、市民団体の協賛イベントを期待、市民団体サイドも半数は「おもてなし」イベント志向、後半数は自然環境保護政策の前進の機会ととらえている
●愛知県・名古屋市とも生物多様性関連施策は世界的に低レベルの日本の中でもとくに貧困(自然誌博物館が県、市ともないなど)
5.NGOサイドの動きと役割
近年の国際会議ではNGOの役割は大であるが、NGOの思惑は以下のように多様
●3.16のNGOフォーラムに集まったホストNGOをめざす人々。国際会議における各国NGOのロビイングなどがうまくいくように支援。全国ネットの大手自然保護団体も東京から来ており、活動の中心になりそう。
●2010までに名古屋市や県に圧力をかけて、生物多様性に関連した施策、仕組みや装置を具体化したいと思っている人びと東山新池干しのメンバー、自然誌博物館などの設立、里山林の保全など志向設楽ダム反対、表浜の自然保全、シャチ飼育の廃止などを求める人等々
●「おもてなし」志向のひと

主な質疑応答
?米、肉などの国内種の海外生産はどうなるのか
?自然の復元にはなにをしたらいいのか
?里山をどうして復活させるか
?NGOはどういう役割をはたすべきか
?途上国の環境団体をどう支えるか
?GMOをどこまで許すか(食糧の高騰により、非GMOにこだわれなくなるのでは)

今後の課題
?招致は既定とした場合、われわれは何をすべきか、とりあえずIDカードの取得にむけて動く必要がある
?名古屋、あるいは愛知県の生物多様性関連施策に何をもとめるか
?COP10のテーマである遺伝資源の利益配分などで途上国をどう支援できるか
?GMO問題など関係のある問題テーマの発掘と対策の議論をどうすすめるかなどについて整理した上で開催までに議論する機会をもちたい(名古屋懇談会もしくは拡大した形で)
(文責安藤)

4月例会:「生物多様性条約締約国会議COP10をめぐって」