名古屋懇談会11月例会報告概要

2007年11月17日(土)名工大大学会館
【題目】「太陽光発電?夢と現実・現実と夢」
【講師】市村正也(名古屋工業大学)
【概要】
太陽電池の基礎的なことがら、現状、そして将来展望について報告があった。

  • 太陽電池の変換効率は15%程度、晴れた日の昼間なら約7平方mの面積で1kWの電気出力が得られる。また太陽電池の稼働時間は年間約千時間であり、最大出力4kWのシステムで平均的な一般家庭の消費電力をまかなうことができる。結晶シリコン太陽電池の寿命は20年以上とされている。また、太陽電池製造に要したエネルギー相当分を発電するのに必要な期間をEPTというが、結晶シリコン太陽電池のそれは周辺機器分も含め3年程度と見積もられている。
  • 2006年の太陽電池生産は全世界で200万kWを超えた。日本の生産は約90万kWと世界最大であるが、ドイツ、中国が急激に生産量を増やしており、やがて両国は日本を追い抜くであろう。しかし値段は70万円/kWで下げ止まっており、むしろ上昇傾向すら見える。kW時あたりの発電単価にすると35円程度であり、依然として電力料金(約25円)より高い水準にある。太陽電池の価格上昇は原材料シリコンの不足が原因といわれているが、ドイツでの電力固定価格買取制度による太陽電池需要拡大も一因となっている可能性がある。一方で、シリコンの使用量が1/10以下のアモルファス太陽電池や化合物(CdS/CuInSe2)太陽電池の量産も始まっている。
  • 現在、日本での発電容量は約2億kWであり、太陽光発電の容量はその1/100に過ぎない。稼働時間の短さも考慮すると、日本の電力需要を太陽光発電だけでまかなうには群馬県程度の面積の太陽電池が必要になる。仮にすべての住宅に太陽電池を設置すると、それでまかなうことのできる電力は全体のおおよそ1/4である。発電単価が電力料金の25円/kW時を下回るようになれば一気に普及が進む可能性があり、原料シリコンの増産体制が整えば技術的にはそれは十分可能である。
  • 報告の後、参加者からは、製造工程における廃棄物を含めた環境負荷、宇宙での発電の可能性、変換効率を制限する要因、電力貯蔵の方法などについて質問があり議論が行われた。

(市村記)

11月例会:太陽光発電:夢と現実・現実と夢