柏崎刈羽・科学者の会 Newsletter No.3

柏崎刈羽・科学者の会 Newsletter No.3
http://kk-heisa.com/data/2011-05-19_kknews03.pdf
■目次■
・「福島原発震災」をどう見るか ――― 私たちの見解(その3)  p.1
・新潟県知事、柏崎市長、刈羽村長への要請書  p.7

「福島原発震災」をどう見るか ― 私たちの見解(その3)
2011年5月19日 柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会
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菅直人首相からの異例の「要請」で、今月 14 日、中部電力浜岡原発のすべての原子炉が停止しました。すでに、首相は、原発推進の国策を白紙に戻し、一から日本のエネルギー政策を再検討すると明言しています。多くの人々の切実な声が首相を動かしたことを、私たちは一歩前進と評価し ます。原発の既得権益に連なる無責任グループ(政界・官界・財界・学界)の圧力に負けず、人々が安心して暮らせる社会を実現していかねばなりません。浜岡の次には、地震に対する脆弱性が実 証された柏崎刈羽原発の廃止がぜひ必要です。その上で、危険度の高い原発から、順次、すべての原発の停止に踏み切っていくべきだと考えます。
「3・11」から 2 ヶ月を過ぎた今も、福島第一原発では危機的な状況が続き、原発事故の規模は、 先月、チェルノブィリ並みの「レベル7」に引きあげられています。同じ月に東京電力が発表した、事故収束へ向けての「工程表」は、その後に判明したとされる、原子炉破損の深刻な事態により見直さざるを得なくなりました。現場では過酷な作業の終わりが見えず、今月 14 日、除染作業中の 労働者が急死しました。
政府・東京電力によって公表されたデータから、福島第一原発では、津波の海水を被る前に、地 震動によって原子炉などが大きな損傷を受けているはずだと、私たちは予測してきました。本文 1.1 ~1.5 に示したとおりです。
また、終わりの見えない放射性物質放出による、水や食べ物の汚染にどう対処すべきか、議論を 重ねました。汚染問題全体は、2.1~2.2 で、食の問題は 2.3 で扱っています。「危険から身を護るために食べない」のか、「産地の人々とのつながりを重視、リスクを承知で食べるのか」。300km も離れた神奈川県西部で、規制値を越える緑茶の汚染が検出されるなど、大気も水も土も広範囲に汚さ れてしまった今、だれもが直面せざるを得ない重い問題であることを確認しました。
最後に 3.3 で、柏崎刈羽原発の即時停止を訴えています。
なお、この見解は、主に下記の方々の意見を受け、最終的に「柏崎刈羽・科学者の会」代表の井 野博満(東京大学名誉教授、金属材料学)と事務局長の菅波完がとりまとめを行いました。各項目の見出し部分には、主として執筆した方の名前を明記しています。この他にも、ここではお名前を ご紹介しておりませんが、多くの方がたに、ご協力をいただきました。また、3 月 23 日付の「見解」、 4 月 7 日付の「見解その2」は、当会のウェブサイトに掲載していますのであわせてご覧下さい。
執筆協力者(五十音順):伊東良徳(弁護士)、小倉志郎(元原発技術者)、上澤千尋(原子力資料情 報室)、後藤政志(元原子炉格納容器設計技術者)、崎山比早子(元放射線医学総合研究所主任研究官、 高木学校)、田中三彦(サイエンスライター、元原子炉圧力容器設計技術者)、内藤 誠(電子技術者、 現代技術史研究会)、奈良本英佑(法政大学教授)、山口幸夫(原子力資料情報室共同代表、物理学)、 湯浅欽史(元都立大教授、土木工学)

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