設立趣意書

The Society for Studies on Entropy

物理学におけるエントロピーを用いて、生命および生命を含む系を論ずることの重要性が受け入れられてきている。これに関連して、すでに多くの論文が公にされ、シンポジウムも重ねられ、日本でのこの方面の研究水準は急速に高まりつつある。
しかしながら、一方、エントロピーということばは、エネルギーということばと同様に近年とみに混乱をきたし、科学技術や社会の諸現象を安易に説明する道具としても用いられるようになってきている。
それゆえ、自然科学および社会科学におけるエントロピー概念をめぐって、分野を越えた議論を重ね、理解を深める必要が生じてきたと思われ、そのための討論の場として「エントロピー学会」を創設する。

この学会における自由な議論を通じて、力学的または機械論的思考のみに片寄りがちな既成の学問に対し、生命系を重視する熱学的思考の新風を吹き込むことに貢献できれば幸いである。

学会の活動

シンポジウムの開催と会誌の発行をおこなう。
シンポジウムは、設立の趣旨からして、発表してそれをただ聞くというのではなく参加者の討論を主体にする。会誌も、論文発表の場ではなく、内容は覚え書、質問、回答、反論などによる討論主体の雑誌とする。

学会の組織・運営

形式ばった組織・硬直した運営を避け、インフォーマルな学問交流の場とする。会員は登録されるが、当分の間会費は定めない。運営に必要な資金は、すべて会 員の任意の寄付によるものとする。会員の入会・退会は自由とする。ただし、入退会にあたってはその旨を事務局に連絡する。

運営は、事務局、シンポジウム企画委員会、会誌編集委員会によりおこなう。いずれも、有志による、まわりもちが望ましい。

1983年9月24日 エントロピー学会発起人