えす No.169

えす No.169   2011年9月13日
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2011年秋の研究集会のご案内
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【日程】2011年10月29日・30日(土・日)
【会場】東京大学駒場キャンパス
    キャンパスマップはこちら→http://www.c.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
最寄り駅:井の頭線 駒場東大前駅
※井の頭線への乗り換えは、JR山手線 渋谷駅、小田急線 下北沢駅、京王線 明大前駅
【会費】
30日午後の記念講演とパネルディスカッション

■第1日目
◎シンポジウム「脱原発依存と人間の安全保障」(午後1時30分~午後5時30分
18号館1階ホール)
3.11東日本大震災とそれに伴う福島の原発事故は、原発に依存する日本社会の脆弱性を浮き彫りにしました。これから私たちはどのようにして原発に依存しない社会を作って行けばよいのか、積極的な議論を展開し、脱原発依存社会のビジョンを語り合う必要があります。
司会:古沢広祐氏
パネリスト:
石原孟氏(東京大学大学院工学系研究科・社会基盤学):洋上風力発電を地域経済の自立と発展につなげるユニークな構想について語っていただきます。
山田國廣氏(京都精華大学人文学部・環境未来コース):除染活動の現場からの報告をしていただきます。
菅井益郎氏(國學院大学経済学部):公害の歴史を踏まえつつ、循環型社会の提案をしていただきます。

■第2日目
◎一般講演(午前10時~12時30分 18号館4階コラボレーションルーム1、2)
公募します。院生セッションは設けませんので、若手の方も一般講演にお申し込み下さい。応募締切は10月10日です。
〈応募先〉Eメールの場合:鈴木明(suzukia58(@)yahoo.co.jp)
郵送の場合:丸山真人(153-8902東京都目黒区駒場3-8-1、東京大学大学院総合文化研究科、電話03-5454-6466)
※応募の際は、講演者氏名、演題、要旨を明記して下さい。
◎英語セッション(午前10時~12時30分 18号館1階ホール)
詳細は未定です。

◎槌田敦氏記念講演(午後1時30分~5時30分

今年は、槌田氏が『日本物理学会誌』1976年12月号に「核融合発電の限界と資源物理学」を発表してから35周年に当たります。槌田「資源物理学」は、原発をめぐる諸問題を原理的に明らかにしており、その先見性は高く評価されます。槌田理論の現代的意義について御自身に語っていただきます。

◎パネルディスカッション(講演に引き続き)
槌田理論をめぐって、パネリストから論点を提示していただき、それに基づいて討論と質疑応答を行います。パネリストとしては、次のお二人が確定しており、他に若手研究者(未定)に加わっていただく予定です。
・室田武氏(同志社大学経済学部)
・藤堂史明氏(新潟大学経済学部)
*第1日目のシンポジウムおよび英語セッションは下記4団体との共催エントロピー学会、東京大学「人間の安全保障」プログラム、東京大学持続的開発研究センター、東京大学持続的平和研究センター
*第1日目の一般講演、第2日目の槌田敦氏記念講演、パネルディスカッションは下記
主催 エントロピー学会
後援 東京大学持続的開発研究センター

なお、10月29日(土)午後6時からエントロピー学会世話人会を行います。
(第1日目シンポジウム終了後)
場所は駒場キャンパス内です(部屋未定)。

【問い合わせ】丸山真人
電話:03-5454-6466

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放射能除染・回復プロジェクトの活動報告
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 4月23,24日に同志社大学において開催されたエントロピー学会研究集会へ福島大学から中里見博さんが参加され、交流会において福島における放射能汚染の惨状を話されました。それをきっかけにして「放射能除染・回復プロジェクト」が発足しました。エントロピー学会員の有志が5月、6月、7月、8月と月1回のペースで、主として福島市における民家や通学路の除染活動、そして企業や自治体が管理している土地などのホットスポット測定を実施してきました。8月には阪大の福本さんも参加して、内部被曝の恐れがある食品の測定や除染の実証実験を行いました。
 7月19日には、福島市の「コラッセふくしま」において、プロジェクトとしてはじめて記者会見を行い、その場で「声明文」を発表しました。プロジェクトの目的や活動経過がまとめられているので、以下に紹介します。

■声明文
東京電力福島第一原発事故により、福島県を中心とした広い範囲に大量の放射能が降り注いだ。3月末の段階で福島市と川俣町の学校・保育所などでの放射線測定が保護者の手によっていち早く実行された。その結果をふまえた保護者・市民からの要請により、4月の時点で、福島県による学校運動場の調査データが発表されて、子供たちの放射能被曝の厳しい実態がわかってきた。
子供たちの被曝は運動場だけでなく、通学路や児童公園や家庭生活圏でも生じている。福島の子供たちは、一刻も早く避難すべき状況にある。
一部の子供たちは家族とともに自主的に避難している。しかし、まだ多くの子供たちが福島で不安を感じながら暮らしており、一刻も早く放射能除染を行なうべきである。「避難」と「除染」という2つの方法は、互いに矛盾するものではない。子供たちの健康と生命を放射能の脅威から守るという最も重要で基本的な立場に立つならば、「避難」と「除染」は相互補完的なものである。ところが、国や福島県は、避難させないことを目的に“除染”を呼びかけているかのようにみえる。もしそうだとしたら、国や県の姿勢は、守るべき根本価値を見誤った本末転倒な態度である。
 
福島における子供たちのこのような現状を憂慮した私たちは、「子供たちの放射線被曝量を可能な限り減らす」ことを目的として「放射能除染・回復プロジェクト」を立ち上げ、活動を開始した。すでに、2011年5月17日から19日には除染すべき民家の事前調査と通学路のホットスポット測定を行なった。6月10日から14日には、3軒の民家と通学路の一部の除染を実施した。そして、7月16日から19日には、企業や自治体の管理地におけるホットスポットの調査と、民家、果樹園のモデル除染を実施した。
 政府や自治体を頼りにして除染してくれることを待っていても被曝状態が続くだけである。子供たちの被曝を避けるためには、市民自らが除染を実施していく必要に迫られている。そこで私たちは市民が実施できる「放射能除染マニュアル(第1版)」を作成した。そこでは、福島県が実施しようとしている除染方法ついて、とくに「圧力洗浄機」を使用することの問題点を強く指摘した。
県の除染方法には、そのほかにも、落ち葉などの焼却処理を認めていること、汚染土などの保管方法があいまいであることなど重大な問題点がある。私たちは、福島の放射能除染作業における重要な原則の一つとして、除去された放射能汚染物質は東京電力に引き取らせ、最終的には福島第一原発へ戻すことがあると考える。さらに、子供たちの通学路や児童の生活圏における被曝量を減らすためには、家や学校だけでなく、商業施設の駐車場や自治体の管理地を含む公共の場所に数多く存在するホットスポットを除染しなければならないが、県が実施しようとしている除染計画には、それらが決定的に抜け落ちている。
 私たちは今後も、放射能除染マニュアルの改善、実証的モデル除染の実施などを提案し、一刻も早く福島が放射能汚染から回復する活動を継続していく決意である。
  ●放射能除染・回復プロジェクト  福島の住民の呼び掛けに応じてエントロピー学会有志と複数の大学教員らにより始められ、住民と一体となって進めているプロジェクトです。
連絡先:中里見博(福島大学行政政策学類)h-naka(@)io.ocn.ne.jp 
  「放射能除染・回復プロジェクト」のこれまで3回の測定調査において、下記のような事実が確認されました。測定は、京都精華大学の細川弘明さんと同志社大学の和田善彦さんが行いました。これらは「氷山の一角」にすぎず、このような事例は実地に計測調査をすれば容易に発見されます。
以下は測定結果で、数字はすべて地表(または座席上)測定による空間線量率 μSv/hです。
1)高圧水を用いた除染実験がおこなわれた市内の小学校の地上U字溝において 56.9、校庭脇に積み上げられた汚染土 3.1 (7月17日)
2)通学路:  市内小学校の通学路沿いのU字溝脇草むら 29.2(5月18日)、同地点 151.2(6月11日)、同地点除染後 4.7(6月12日)
3)福島駅駐輪場: 屋根の無い自転車置き場の排水口付近 8.1 (市内の高校に通う高校生多数が日常使用する駐輪場)(7月17日)
4)児童公園: 市内、小学校直近の児童公園のすべり台着地点で 15.2 (5月18日)
5)駅前広場:  福島駅東口広場のベンチ真下の排水口  3.8、西口および東口の街路樹根元で 4.4~22.4(すぐ近くにベンチやバス停)(7月17日)
6)バス停:  福島駅東口および西口の複数のバス停留所のベンチ、植え込み、雨樋下において1.3~4.8 (7月17日)
7)公共駐車場:量販店の駐車・駐輪場所の路肩、側溝、植え込みなどで  2.7~29.6(27.0以上3ヶ所、5.0以上8ヶ所)(7月17日)

市町村・県・国あるいは公的機関は、放射能汚染状況について、これまでおこなわれてきたよりもはるかに詳細な調査をただちにおこない、情報公開するとともに、被曝低減のための総合的な対策をとるべきです。
 
放射線測定や除染は、あくまで被曝低減が目的です。避難・一時待避といった選択肢も含めて、さまざまな方法による低減化対策を生活圏において総合的に展開していく必要があります。
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「自立的技術・経済の研究会」第3回研究会報告
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◆自立的技術・経済の研究会(第3回報告、第4回予定)
  第3回研究会は、7月16日(土)午後1時30分より24名の参加をえて國學院大學渋谷キャンパスで開かれ、技術側(現代技術史研究会)から、次の三つの報告があった。

1.「将来のエネルギー計画」(報告者:安藤多恵子)
市民エネルギー研究所が行った、経済予測モデル「エコノメイト」を用いたエネルギー需要予測モデルについて参照しつつ、そこでモデル推計の前提とした自然エネルギーの将来的普及(規模・価格等)についての予測について、またFeed-in  Tariff(固定価格買取制度)の有効性に関する報告があった。
2.「スマートグリッドの現状と、生活の変革」(報告者:内藤誠)
スマートグリッドは小規模の変動の激しい電源と個別の電力消費単位(家庭・企業)をネットワーク化し、これまでの配電網に出来なかった細かい調整を可能にするとされているが、その効果と限界はどのようなものか報告があった。
3.「太陽光発電のエネルギーペイバックとコストペイバック」(報告者:廣瀬峰夫)
太陽光発電等の新エネルギーの原価は高いが、エネルギー的には相対的に早く元が取れる、という説に対し、LCAの解析では原価の一部をエネルギー費用として算定しているだけで、実際には人件費・材料費などに潜在的なエネルギーの投入が含まれるため、エネルギー的にも効率が悪く、火力より劣る可能性があるという点に関連して報告があった。

 以上の発表での論点について参加者を交えて議論した。とりわけ、新エネルギーの環境面での評価、価格の変動をどう捉えるべきか(価格が安ければ良いとは限らないとして、高いことはエネルギー使用・環境負荷に関係ないのか)について議論が集中した。
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◆コメント:
 今回は報告者の三人のみなさんがともに、「貨幣」もしくは「貨幣経済」と「エネルギー」とりわけ「電気エネルギー」の関係を首座に据えての報告がなされましたが、どれも胸にすとんと落ちるような報告にはなっていなかったように思います。この原因は、もとより報告者にあるのではなく、エネルギーの基本的性質、それと貨幣との関係、このそれぞれについてきちんと整理して論じられてこなかったところに由来するように思えました。
 エネルギーは、もともとは石炭、石油のように物的に形態把握されて存在するのですが、電気エネルギーとした途端、社会的に形態把握されるほかなくなって、発電・送配電システム全体によって具体的に表現されるようになるのではないで
しょうか。そして電気エネルギーと「貨幣」は、社会的にしか形態把握できないという意味においては相似することになる反面、「貯蔵」において対極をなすといえるのではないでしょうか。
 こうしたことをまず検討し、エネルギーと貨幣の関係について共通理解をもう少し進めたうえで今回のような報告をしていただければ、おそらく議論全体がかみ合い、より深まっていくように思いました。(青木)
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◆「第4回

・日時:2011年9月18日(日)13時半より
・場所:國學院大学渋谷キャンパス
・テーマ:「原発利権の経済学」(仮題)

 3.11の原発震災発生以降、原子力に関する研究者に「御用学者」が多数おり、科学的に中立な議論をせず、安全神話を振りまいてきたこと、また、政治家・行政・マスコミも、電力事業から上がる多大な収入から、政治献金・天下り・広告費といった「利権」を受け取り、電力業界と一体となって闇雲に原子力発電を推進してきたことが指摘されてきています。
 利益の発生と分配の構造について考察し、社会の構造について考察するのは、古き良き経済学・社会科学の得意とする分野です。「原発震災」を引き起こした「原発利権」について考えるため、室田武さんの『原子力の経済学』『電力自由化の経済学』をテキストとして、また、電力料金のシステムなどについて発表を行い、討議を行う予定です。
・発表予定:
室田武『原子力の経済学』、『電力自由化の経済学』の内容紹介(室田武)
大島堅一『再生可能エネルギーの政治経済学』の内容紹介(青木秀和)

 問合せ先:藤堂 ( toudou(@)econ.niigata-u.ac.jp, FAX 025-262-7659 )
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地域セミナーの報告とご案内
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■名古屋懇談会

名古屋懇談会は諸般の事情で休眠状態にあります。ただ、名古屋懇談会とは別に有志で「未来につなげる東海ネット」(脱原発社会を実現する市民のネットワーク)http://tokainet.wordpress.com/へ賛同して「未来につなげるエントロピー名古屋」というネットワークを立ち上げました。いまのところはメールでの参加に限定しておりますが、もしメールをお使いでない方で情報がほしいという方がおられれば「はがき案内」も考えております。ご希望の方は安藤までご連絡ください。(FAX052-895-2537または電話、052-896-7357)

今回は、他の地域セミナーについての報告および案内はありません。