エントロピー学会2014年春の研究集会プログラム(4月24日版)

エントロピー学会2014年春の研究集会
地域社会から持続可能な未来を考える
  本年度の春の研究集会は、5月17-18日に新潟大学新潟駅南サテライトキャンパス「ときめいと」にて、「地域社会から持続可能な未来を考える」と題して開催します。また、シンポジウム「原発なしの地域の自立・発展を考える」を開催します。
  そもそもエントロピー増大と物質循環を前提とする自然の中で、共に生きる人間社会の在り方を追求してきたのがエントロピー学会です。東電福島原発事故以降は、科学の神話そして利権としての原発問題を取り上げ、自然や社会を壊さない文明の在り方を熱心に議
論してきました。
  事故から三年、福島を中心とする多くの被害者の犠牲を無視するかのように、原発再稼働・原発輸出など原子力利権が復活しようとしています。このような科学技術と政治・経済との歪んだ結びつきを徹底的に批判すべき時は今をおいてないでしょう。
  そして、原発なしでも発展できる、むしろ原発があるから発展できない日本社会からの脱却を、東京電力の二大原発立地地域の一つであった、新潟から発信してゆきたいと思います。皆様のご参加をお待ちしております。
            エントロピー学会2014年春の研究集会実行委員長    藤堂史明(新潟大)
          
【日 時】 2014年5月 17日(土)13:30~18:00(終了後 懇親会)
           18日(日)10:00~17:00(発表終了15:00)

【会 場】 新潟大学 新潟駅南サテライトキャンパス「ときめいと」

【会 費】 2日間:学会員1,500円、一般参加2,000円、学生1,000円

【共 催】 にいがた原子力防災研究会 

【問い合せ】 エントロピー学会2014年春の研究集会実行委員会
〒950-2181 新潟市五十嵐二の町8050
新潟大学大学院現代社会文化研究科 経済学部 藤堂研究室
E-mail:toudou(@)econ.niigata-u.ac.jp
【URL】 学会ウェブサイト https://entropy.ac/
実行委員会ウェブサイト http://www.ecosci.jp/entropy2014/

【申し込み】 上記サイトから参加申し込みができます(予定)。当日の受付をスムーズ行うための事前申し込みです。申し込みなしでの当日参加も可能です。

【宿 泊】 16・17・18日の宿泊が予約可能です。予約方法は下記参照。
     http://www.ecosci.jp/entropy2014/hotel2014.pdf

を印刷して記入の上、FAXで申し込んでください。

【全体スケジュール】

2014年5月17日(土)
プログラム  (ときめいと 講義室A・B)
13:00 受付開始
13:30 シンポジウム「原発なしの地域の自立・発展を考える」
基調講演
15:30 パネルセッション
17:30 シンポジウム終了
18:30 懇親会 (バターフィールド新潟駅店)
20:30 1日目プログラム終了

2014年5月18日(日)
プログラム (ときめいと 講義室A)
9:30 受付開始
10:00 セッションI 「原子力・公害問題の構造」
12:00 昼休み
13:00 セッションII 「核・放射線・原子力リスク」  セッションIII 「科学と社会」

15:00 セッションII終了 セッションIII終了

15:30 世話人会
17:00 2日目プログラム終了

■ 5月17日(土)

12:30 受付開始 (ポスター・展示開始)

13:30 シンポジウム「原発なしの地域の自立・発展を考える」 

シンポジウムプログラム

13:30~15:20 基調講演 

司会:藤堂史明(新潟大学)

・基調講演I「原発再稼働と地域の発展・自立をどう考えるか ‐福島県の経験から‐」

佐藤栄佐久(前福島県知事)

・基調講演II「-原発再稼働と地域の発展・自立をどう考えるか ‐新潟県の経験から‐」

平山征夫(新潟国際情報大学学長・前新潟県知事)

15:30~17:30 パネルセッション

司会:菅井益郎(國學院大学)

パネリスト:基調講演登壇者に加えて

伊藤久雄(東京自治研究センター理事・特別研究員)

矢部忠夫(柏崎市議会議員)

中山均(新潟市議会議員・緑の党共同代表)

○懇親会に是非ご参加ください。

会場:バターフィールド CoCoLo新潟店 会費4,000円

■ 5月18日(日)

9:30 受付開始 

10:00~12:00 セッション I

「原子力・公害問題の構造」   会場「講義室A」

○白 潔(新潟大学大学院現代社会文化研究科 博士後期課程)
「新潟水俣病の患者救済問題 ‐争点としての認定基準‐」
 新潟水俣病問題は、1965年6月の事件発生の公表を始点として、今年まで44年経過したが、この長期にわたる新潟水俣病の患者救済問題はなぜ今まだ解決してないのか?この問題意識を持ち、本論文では1967年の新潟水俣病第1次訴訟から今までやってきた裁判を中心に考察し、特に患者の認定基準について分析した。

○張 博(新潟大学大学院現代社会文化研究科 博士後期課程)
「「原発事故」により露呈した問題点―「電源三法」と「原賠法」を中心に―」
 今回の東電福島第一原発事故後、国民に安心で安全で安価な電力を提供できるという原発推進の宣伝は崩壊した。そして、設立当時の原発誘致の遅々として進まない状況下の懐柔策である電源三法交付金制度は原発立地地域が原発に依存する悪循環に陥る政策ではないかと考えられる。また、「原賠法」に基づき事故後の損害賠償について諸問題が露呈した。そのため、「電源三法」と「原賠法」を再検討する必要があると考えられる。

○楠美順理(中京大学国際教養学部)
「原発による経済効果の評価基準」
 原発の経済効果を3分類し、それぞれについて便益享受主体、望ましさ判断のための視点、同課題等を整理。原発の是非判断に供する。

○安部竜一郎(立教大学経済学部)
「環境リスクの質的定義と擬制的外部化 」
 リスクのエンドポイントを個人の死とおく環境リスクの量的定義は、異なるリスク間の比較を可能にして政策意思決定への道を拓いたが、リスクの質的定義に欠けており、原発のような発生確率は低いが不可逆かつ巨大なリスクの過小評価を招いた。本報告では、環境リスク論とエントロピー論を接合によって環境リスクの質的定義を試みる。

12:00~13:00 昼休み (会場周辺に多数の飲食店があります)

※セッションII、IIIは同時並行です。ご注意ください。

13:00~15:00 セッション II

「核・放射線・原子力リスク」  会場「講義室A」

○井野博満(柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会代表)
「原発再稼働を認めるべきでない技術的根拠」
  昨年7月に決まった原発の新規制基準1は、かつての「安全神話」の時代と比べるならば、「過酷事故」が起こりうることを認め、対策を事業者に義務付けており、一歩前進のように見える。しかし、巨大地震や多重故障への備えという設計の基本が強化された訳ではない。また、過酷事故対策は、代替電源設備、代替注水設備、ベントフィルタといった周辺設備強化の対症療法であり、その確実性は保障されていない。さらに、過酷事故が発生した場合の住民避難計画は、実際の困難さを無視した絵に描いた餅でしかない。

○岡田正彦(新潟大学医学部名誉教授) 
「エビデンスに見る医療用放射線と環境汚染のリスク」
  原発事故のあと「汚染は胸のレントゲン検査より少なかったので大丈夫」とのコメントがなされていた。本講演では、医療用放射線と環境の放射能汚染とを対比させながら、発がんのリスクをエビデンスに基づいて論ずる。

○佐々木寛(新潟国際情報大学国際学部)
「安全保障と原子力発電――グローバル・リスク社会の文脈から」
  現在の日本における原発再稼働の隠れた理由のひとつとして、将来における安全保障政策としての自前の核抑止力の保持が挙げられることがある。しかしそれがグローバルなリスク社会の文脈でいかに的外れな議論であるのか、今一度整理する。

○藤堂史明(新潟大学経済学部・現社研)
「原子力災害の防災、その考え方と仕組み‐安全かは後で分かる」
  原子力災害の防災の仕組み、避難のあり方が議論されていますが、どのような考え方で安全を決め、防災を図っているのでしょうか。また、人類史的には、私たちは現在進行形でデータをとられている原子力災害のリスクの被験者です。そこから科学と市民社会の在り方を考えます。

13:00~15:00 セッション III

「科学と社会」     会場「多目的スペース」

○小林良彦(新潟大学大学院自然科学研究科 博士後期課程)
「大学院生として行う科学コミュニケーション」
  科学に対する意識向上、魅力発信を目的とする活動が科学コミュニケーションである。昨今のメディア上では、原発問題や論文不正などの科学関連の話題も多く取り上げられている。非専門家が、そのような話題をどう捉え、解釈していくか、という問題に対して、科学コミュニケーションは重要である。ポスターでは、科学コミュニケーションの重要性、そして、実際に筆者が行なっている科学コミュニ ケーション活動を、科学者を目指す大学院生の目線で説明する。

○掛川洋規(特定非営利活動法人まちづくり学校理事)
「社会的に望ましいエネルギー需給構造とは」
  エネルギーに関する問題は東日本大震災以降特に注目を集めている。議論が多数行われている一方で向かう方向が決まっていないように思える。社会的な望ましさとは何かということを中心に言及したい。

○大関ゆかり(放射能と環境を考える会代表)
「市民の目から見た国の放射能対策・環境政策と地方自治」
  3.11以降の避難者支援、食品・環境の放射能汚染対策に関する活動を通して、市民の目から見た行政の施策の不備や問題点、事例などをまとめてみた。

○本間善夫(科学コミュニケーター)
「3.11後のインターネット情報発信とソーシャルメディア活用」
  2011年の東北地方太平洋沖地震発生直後からソーシャルメディアによる情報の受発信を開始したほか、自作サイトで「DNA修復」ページを作成して有用情報へのリンク掲載も行った。3.11後に科学に対する見方が変質したことも受け、STEM教育の重要性についても言及する。

■ 5月18日(日)15:30~17:00 世話人会
メール:toudou(@)econ.niigata-u.ac.jp TEL/FAX 025-262-7659(留守電)